MVNOに危機か!?楽天のFREETEL買収からみえる今後のMVNO業界
【2017年9月26日、「FREETEL」としてスマホ開発やMVNOによる通信事業を行ってきたプラスワン・マーケティングの通信事業を楽天が5億2000万円で買収すると発表しました。】
総務省のバックアップもあり、今や700社近くの企業がMVNOとして携帯業界に参入しているなか、今回の楽天の買収がこれからのMVNOの経営危機を示唆しています。
なぜ楽天が買収することになったのか?
「FREETEL」といえば、女優の佐々木希さんやお笑い芸人など、多くの芸能人を起用した広告を展開したり、実店舗を出店するなどをして知名度をあげてきました。
数あるMVNOの中でも「FREETEL」なら聞いたことある!という方も多いと思います。
そんな勢いもあった「FREETEL」が今回の買収に繋がったのはなぜなのでしょうか?
それは
- 今年の3月に発表した新サービスが実質的な3年縛りを行うことになるのではないかと批判を浴びたこと
- 今年の4月に消費者庁から景品表示法の違反(商品の品質・値段に関して消費者が誤解するような不当表示)の措置命令を受けたこと
というような事実により、企業としての評判が下がったことに原因があると言われています。
それからFREETELのサービスを展開しているプラスワン・マーケティングは顧客獲得のために先行投資を積極的に行ってきましたが、売上高が100億5900万円なのに対し、営業利益は53億8800万円マイナスと大幅な赤字を打ち出している状況にあったようです。
そこで、楽天が事業買収によって「FREETEL」の存続に助けの手を伸ばしたということです。
楽天はなぜ「FREETEL」存続を助けたのか?
楽天も「楽天モバイル」を展開していますが、大手キャリアのサブブランドによるMVNO参入や大手キャリア自体がMVNOのサービス展開を阻止するような動きもあって、契約数をなかなか伸ばせていないのが現実です。
楽天はより多くの契約を獲得するため、プラスワン・マーケティングの通信事業部の買収を行ったと思われます。
今後のMVNOに危機?
今回の出来事で注目されているのは、今後のMVNOの行く先です。
プラスワン・マーケティングのように先行投資で顧客獲得に走っている企業も多いでしょう。
ベンチャー企業や中小規模のMVNOを中心として、いつ経営破たんする企業が出てきてもおかしくない状況にあると言っても過言ではありません。
「FREETEL」の場合は、楽天の買収によりサービスの存続は約束されましたが、買収の話がなかったら、いきなりサービスが使えなくなり、困るユーザーも多かったはずです。
今後のもしもの経営破たんにも対応できるような、ユーザーを保護する仕組み作りが必要になってきますね。
大手キャリアよりも安くスマホが使えるMVNOはユーザーも増加傾向にありますが、消費者である私たちは今後の流れをみてMVNOにするべきか、するならどこがいいのかなど注意深く選択していかなければならないようです。